thundercatのライブに出かけた話

2年前に予定されていたthundercatの東京公演が中止、中止を経て先日公演された。チケットを購入した時はコロナウィルスの騒ぎもなく中野に暮していたため「行く行く!」とノリノリでチケットを購入したのだが、まさかたった数ヶ月で世の中も私の生活も大きく変わってしまうとは思っておらず、片道2時間近くかけてライブを見にでかけることとなってしまった。こんなに遠出することも子供と主人が夜にお留守番するのもはじめてなことだったため後ろ髪を引かれる気持ちを感じつつも「USAからTHANK YOU」の気持ちも強く行かないという選択肢は考えなかった。

夫には半休をお願いし、当日のコーディネートを考え、thunder cat のアルバムを聞き返し準備をしていた。あぁ準備といえばチケットチケットとe+のアプリを開いてチケット確認したところ、あることに気がついた。今までチケットだと思っていた表示はクレジット決済が済んだ旨が書かれた詳細で、さらに「スマチケ」を表示する必要があってそれがチケットになるようなのだが、何故かアプリ上にスマチケが表示されなかった。慌てて調べたところ、機種変更した際は必ず前の機種から今の機種にスマチケを移行する必要があって、移行する前に前の機種を初期化してしまうとチケットが消滅してしまうからよろしく頼む的なことがサラッと書いてあり絶望を感じたのだった。さらにチケットが消滅した場合はチケットは金券扱いになるためスマチケの場合も再発行できない旨も書かれており涙を浮かべた。私は先日久々にスマホを買い替え、今までの機種は初期化してリサイクルし、そのことをわざわざ前回のブログに綴ってイエイと喜んでいたというのにこのザマ、ライブ3日前の出来事であった。

震える手でスマチケをどうにか復元できないか調べてみたところ四星球 北島康雄の「喋り足りなくて・・・冬」ツアーin東京を見に行こうとしたら三日前にスマチケが紛失していることに気がついた人のブログを発見。カスタマーサポートデスクに問い合わせをしたら再発行してもらえたという一連の出来事が書いてあり「よっしゃー」と急いで問い合わせたところ無事に再発行まで漕ぎつけることができたのであった。これは本当に嬉しかったことで北島康雄さんのライブに行った方のブログには感謝だし自分もスマチケ紛失をバトンにして後世に引き継がないといけませんなと思い綴ることにした。再発行手続きをするための案内が届くのに数時間要するので当日に気がついたらアウト、もしスマチケをお持ちでライブを控えている方がいましたら3日前くらいには、チケットの表示を確認してください。延期していたライブがやっと行けるという方も多いかと思うので是非ともよくよく確認して楽しんで行ってきてください...

そんなことで始まる前からコロナ、中止、コロナ、中止、紛失、絶望と一悶着も二悶着をあった訳なのだが当日はもう本当に楽しくて素晴らしく、ここ最近で一番良い1日だったと思うくらいの日であった。

ライブの内容はすごかったという感想だけなのだが、細かいことはわからないけどたぶんベースであんなにメロディーラインを弾く人って少なくて、本当にあの太い弦を高速で弾いているんだなとエヴァンゲリオンのアスカのベースを全身で奏でるthundercat を見て感じた。昔ギターを練習しようと思ってお茶の水にギターを買いに出かけたら思いの外抑える指が痛いのでウクレレを買って帰ってきた経験が私にはあるのだが、あんなことギターよりもさらに太い弦のベースでやったら血も出るだろうにと想像できるし、現にたなしんとthundercatの対談の動画だったと思うのだが「指痛くないの?」と聞かれたthundercatが「いや痛いよ」と答えててやっぱり私と同じで痛いんだなと思った。それでも幼い頃からの鍛錬を経て彼の指の皮は厚くなってベース仕様の手にはなっていて凡人よりは痛くないとは思うのだけど、そう思うと演奏だけではなくthundercat自身がアートなのだな、とギラギラしたベストを纏ったthundercatを見つめて考えたのであった。

しかし、悲しいかな、どんなに素晴らしく素晴らしくともつくばに残してきた幼子と夫のことを思うと全力で演奏に集中することはできずにいた。子は今のところ私がいないと眠ることができないため、ライブ前から「夜の9時半までには家に帰る」と自ら課しており、そのミッションを全うするためには19:30に会場を出ないと間に合わない計算であった。そろそろかなと思いながらソワソワとスマホで時刻を確認し、頃合いを見計らいながら会場の出口付近に移動し、ギリギリまで演奏を聞いてもうアカンというところまで居座り静かに扉を開けて出口に向かった。

人っ子一人いないロビーを通り外出口に向かうと「会場を出られますと再入場できませんがよろしいですか」と目元優しげな女性に声をかけられ「はい、ありがとうございました」と悲しい気持ちで伝えると「ありがとうございました」ととても感じ良く答えてくれたことにすごく救われる思いがした。この人は私のことを何も知らないし何故ライブの途中で帰っていくのかも知らないし、慰めるつもりもないんだろうけどただ気持ちよく挨拶をしてくれただけで誰かを救うことってあるんだなと思いながら、空港などにある恵比寿の長い長い歩く式エスカレーターに乗って、さらにその上を高速で歩いた。

計算通り9時半ぴったりに家に到着すると、子供がニコニコしながら走って出迎えてくれた。夫にお礼を言ってthundercat Japan tour限定Tシャツを渡し、急いで着替えをして子供を寝かしつけた。子供にお母さん今日どこに行ってたか知ってる?と問いかけたところ「サンダーキャット踊りに行っていた」と正しい情報を把握しており笑ってしまった。その後子が眠りにつくのを見届け1人で紀伊國屋で買った割引のおにぎりを食べて風呂に入って眠った。ずっと見たかったライブにも行って途中で帰ったけど半分以上は曲も聞けて、どこ行ったの?いつ帰ってくるの?とは聞いてきたものの、それなりに子供も元気で待っていてくれたらしいので私的には満足のいく1日であった。

 

それから数日間のあいたthunder cat loss になってしまった私はTwitterInstagramでJapan tourに行った人の様子を見たりしてはため息をついていたのだが、名古屋のtourが終わった後にキーボードを演奏していたDennis hammがInstagramのストーリで新幹線から撮影したであろう富士山を投稿していたのを見て私の中の愛国心が爆発した。こんな世界情勢の中で2回もライブが延期になったのに中止することを選択せずに、さらにライブの公演を2部制に切り替えて動員数を調整し、スケジュールを整え日本公演を全うしてくれたこと、富士山を見て喜んでくれたことに嬉しさと感動を覚え、そして拙い英文でDennis Hamm に感謝の意をメッセージで送ることにした。するとDennis Hammは気さくな感じでメッセージを返してくれてますます私の中の感激は大きくなり全てが最高の思い出となり昇華された。

もし私が北海道に引っ越してしまっても、またthundercat のJapan tourは絶対に見に行きたいと思う。その時子供も興味があるようならば今度は家族で行ってもいいかもしれない。