satomiconcon.hatenablog.jp
坂本龍一展に言った記録はもうすでに書いているのだが、実はこの展示に若者と一緒に行ったという稀なことが起きた。
時を戻すこと今年の1月。わたしは月に数回ジムに通っているのだが、私がお世話になっているジムのトレーナーが美術鑑賞好きで、この日も気になっている展示の話をしながら上腕二頭筋を鍛えたり背筋を鍛えたりしていたのだが、そのときに私が「坂本龍一展に行きたいと思っている」話をトレーナーにしてその日のトレーニングは終了した。2月にジムに行ったらトレーナーが「こんこんさんが話ていた美術展に実はいってきまして、すごくよかったから2回見に行った」という話を聞かせてもらい「そうなんですね、まだ行けてないから行かないと」と返したところ「よかったら車を出すので一緒に見に行きませんか?」という流れに行き着いたのだった。
車で東京...それは車でおかねの看板くらい私にとってインパクトのあるフレーズであった。北関東から車で東京に行けたら非常に快適で楽なのは知っている。知っているのだが私は首都高に乗る技量も勇気もなく、駐車場料金が高いのも等しくわかっていた。この人はマジで車で東京まで連れて行ってくれるのだろうか...!
「いいんですか!よろしくお願いします!!」私は声高らかに若者に伝えた。そして「ちなみに美術鑑賞は1人でみたいタイプなので館内では別行動でもいいですか?」と言ったところ良いと言われたので、「ではチケットはこちらで準備します!」と言って私は車を出してもらう代わりにチケットの手配係に立候補することにした。
家に帰ってから夫にジムのトレーナーが車で美術館に連れて行ってくれることになった旨を報告したところ「そんなことあるの?」と驚いていたので「あるらしい」と答えた。もしかしたら「そんなオプションがあるの?」とそういうサービスを私が利用したと思われたのかもしれないけど「車で東京に行けるなんてラッキーだよね」とニコニコしてみせてその話題は終わった。
それから3日くらいたって私は急に不安になったので夫に相談に乗ってもらった。「若者が40近いおばさんを美術館に誘う意味ってなんだと思う?」と聞いてみたところ「知らない」と返された。ちなみにトレーナーには彼女がいること、トレーナーは私に家庭があり子供がいることも日々の世間話のなかで情報を提供済みである。わたしは「知らない」と薄ら笑いしている夫に話を続けた。「多分、わたし宗教かマルチ商法に誘われるんだと思う。」夫のニヤニヤは増した。
宗教に4回、マルチ商法に1.5回ほど誘いを受けたことのある私にはわかる。多分私はなんか誘いやすい顔をしているのだろうし、脈略のない突然の誘いは怪しいという事実も過去の経験から学んでいる。嫌だな〜せっかく通いやすくて3年も通ってる居場所がなくなちゃったらと気が引ける思いをかんじながらも、宗教に4回、マルチ商法に1.5回をかわしてきた私なので車の中で誘われた時はどうかわそうか...などと少しの意気込みのようなものも感じつつも「まぁ、車で東京に行けるしいいか」と余計なことは考えないようにすることにした。
約束の日。若者は約束通り指定した私の家の近くまで迎えにきてくれた。車に乗せてもらうのでお茶を準備して若者に「よろしくお願いします」といいながら茶を渡したところ「あ、僕もコーヒーを買ってきてまして、よかったらどうぞ」とコンビニのあったかいドリップコーヒーが車内にすでに準備されており驚いた。omotenashi!と心に中で叫んだ。
ありがたくコーヒーを啜っていると車は高速道路に乗ってそうして私の苦手な首都高に突入していった。そのあたりで一件の電話が入った。若者が出ていいですか?というのでどうぞというとやや北関東なまりの50代くらいのおじさんの声で持株を売るか待つかどうしましょうかみたいな話をしていた。(ハンズフリー通話です)
私は察した。きっとこの流れで私に株を買わないか?という話をしてくるのだろう。買わないぞ!!と気合を入れたところで「すみません」といいながら若者の通話が終了したので「大丈夫ですよ、株のはなしですか?」と相手に話をふった。私にはそういうところがある。
黙っていればいいものの香ばしいにおいのする会話の切り口を自ら切り出してしまい、そのまま株の話に移行して言った。ちなみに私は自称投資家歴7年なのでそれなりに株の話はできる。こいや!!と謎の闘志を抱きながら(投資だけに)ふむふむと静かに話を聞いた。どうやら投資グループを作って活動している様子だった。「こんこんさんは興味あります?」とジャブをされたので「あ、私は1人で一喜一憂してやるのが好きなので」と日頃鍛えた上腕二頭筋を使ってブロッキングした。「儲けたいとか思わないのですか?」と聞かれたので「儲けたいと思いません。社会勉強のためにやってますので(大うそ)」と答えると、それ以上とやかく言われることもなく投資の話は終わった。
それから会場に着くと予定通り別行動で美術鑑賞し、2時間後くらいに再度集合し清澄白河にあるブルーボトルコーヒーでお茶をすることにした。若者は、その道中で必ず道路側を歩くという姿勢を見せてくれた。どんなに私が道路側になっても必ずさささと移動をしてくれ「すごい!どんなに歩いても道路側にならない!」と思いつつも「いや幼稚園児じゃないんだわ」と心の中のわたしがヤジを飛ばしており、そうか私は年を取って道路側を歩かれてもあまり響かない中年になったのかとそのときに気付かされた。一方今朝のあのホットコーヒーのおもてなしは沁みるものがあった。万年冷え症なので温かいものが準備されているのは非常にありがたくしかもコーヒーも好きなので好感度が高った。私も誰かにやってあげようと思う。
コーヒーを飲んで、それでは帰ろうとなったタイミングで「これご家族でよかったら」と坂本龍一展で売っていた坂本龍一が愛したBABBIのウエハースをいただいた。すげーこの人のおもてなしとびっくりしながらもらったものは返さなきゃのおばさんなのでちょっと待っててと言ってブルーボトルコーヒーの豆をプレゼントした。
そうして首都高に乗って我々の住む北関東に帰る帰り道で、私は驚く光景を目にした。どこのジャンクションなのか忘れたのだけど、右側にいる車が左側に、左側にいる車が右側に入れ替わる現象が高速道路上で発生した。

バイパスではなくジャンクションでした
みんな当たり前のようにゆっくり左右の車がクロスして入れ替わっていき一体何が起きているのかと若者に聞いてみたところ、おそらく新しい道路ができ全てを整備するわけにもいかず継ぎはぎになっているためにこのような走行になっているのでは?との解説を受けたのですが、この謎のJCTまたぎを体験してますます「首都高無理...」の気持ちになってしまいガッカリしてしまった。これ何も知らないで遭遇したら発狂するぞ...しかも停車せずにやれと....この日一番の驚きは首都高の新たな壁を知ったことだったことかもしれません。
そうして私は宗教にもマルチ商法にも株の仲間にも誘われることはなくこの日を終えることができ、今現在も若者トレーナーのもとで元気にトレーニングを受けている。一緒に出かけたことで行きづらくならないで本当によかった。しかしこの日を境にトレーナーは変な誘いを受けて乗ってしまっているのではという余計な危惧を感じてしまい、若者がインスタでやけに参拝に行っている投稿をあげている様子などを目にすると目覚めよー!などと余計なおばさんムーブを醸し出してしまう次第である。余計なお世話ばかりしていないで早く首都高に乗れるように頑張りたいと思います。