ラーメン屋

幼少の頃から漫画やアニメが好きで、「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」など子供らしいものから「らんま1/2 」や「笑ゥせぇるすまん」などちょっと大人なアニメも熱心に見ていた。漫画は父の買ってくるビックコミックオリジナルを楽しみにしており、三丁目の夕日あじさいの唄を読む一方、黄昏流星群で大人の恋愛模様を眺めていた。
そんな渋めの作品を小学校低学年の頃から見ていたせいか、なかよしやりぼんなどの小・中学生から人気の少女漫画には一切興味が湧かなかった。
特にあずきちゃんママレードボーイには嫌悪感すら感じていた。理由は意中の男を想って顔を赤らめたりするなど歯がゆいシーンが多いことやその割に簡単にキスをすることが気に入らなかったからである。あずきちゃんに至っては(あずきの野郎はまたキスをしやがって...)などと、心の中であずきちゃんを叱咤しまくって嫌っていた。小学生のわたしは秋元康の考える小学生の恋愛物語に共感できずにいた。
今思うと男女の淡い色恋話に恥ずかしさを感じてしまう多感な時期だったのかもしれないが、その一方らんま1/2では水のかかった女らんまのおっぱいが見えるシーン、喪黒福造がBAR魔の巣で乳を出したバニーガールのトランプの絵柄を見てマスターと一緒に顔を赤らめるシーンにテンションが上がっていた。あずきちゃんが顔を赤らめるのは腹が立つが喪黒福造が赤らめるのにはグッときていたのである。今でもおっぱいを出したバニーちゃんを見て赤面する喪黒福造のあのレアなシーンを見たくてネットで検索してみるものの見つけることができない。人に言っても「?」であのシーンを知っているという者になかなか出会えないでいる。だれかいません?あの不気味な笑みのまま顔を赤らめる喪黒福造を。
男女間の歯がゆい恋愛話には苛立ちすら感じるほど毛嫌いしていたのに、ちょっとエッチなワンシーンには身を乗り出して見物する幼少期。志村けんのバカ殿様で女性をトランプカードにして勝負をするおっぱい神経衰弱は衝撃的で忘れられない。自分はキスシーンよりもお色気シーンに関心があるんだなということに幼少のわたしも薄々気づいていた。そして女のはずなのにおっぱいを見て喜んでいるぞ自分は!もしかしたら男なんじゃないか!と心配に思ったことも多々あった。そんな自分にダメダメ!とエッチな感情には極力フタをするようにして必要最低限しかシモの情報を入れないようにきてきた。そのせいか、最近知人との会話の中で汁男優をしているというジョークを理解できず、汁から連想してラーメン屋かなんかだと思ってしまい「熱くて大変ですね」と答えてしまったのであった。その夜、わたしはググってたいそう驚いたのである。そもそも男優という言葉がついているのにどうしてラーメン屋だと思ったのか、と。
このように、おっぱいだなんだと話をしたいのだがいざ話を振られると上手な返しができなかったり、反応に困って急にニヤニヤして会話をしなくなったりと、相手とコミニュケーションが取れなくなってしまう。情けない話だ。
おっぱいだおしりは勿論、性について涼しい顔で表現や主張ができる女性はかっこいい。さらにそこにユーモアがあったら最高である。最近そんなエロとユーモアのある女性の表現を見つける機会が多くなったように思うのだが、ただ単純に少しずつ自分のフタを開けて周りを見出したからかもしれない。わたしもできれば涼しい顔をして軽やかに下ネタコミニュケーションを取れる人間になりたい。もしまた職業は汁男優ですというジョークを言われる機会があったらザーメン屋ですね!!と元気よく答えてみるつもりでいるがそれで大丈夫でしょうか。