思い出のナポリタン

ハイエナズクラブというインターネットサイトに所属しているのだが、この話はハイエナズクラブに加入したての初々しいころの話である。

過去の記事にハイエナズクラブに加入するまでの愛と感動のブログがあるので興味のある方はそちらもご覧いただければと思うのだが、簡潔に説明すると私がハイエナズクラブに加入できた経緯はソウルバンドグループ・思い出野郎Aチームでもありハイエナズクラブの同メンバーでもある増田さんの気配りが70%くらいを占めている、と勝手ながら思っている。

もともと思い出野郎Aチームのファン、そして実は当時私はチームの中では増田推しであった。ある日お料理上手の増田さんがナポリタンなどのスタミナ飯を作って振る舞うイベントを阿佐ヶ谷のロフトでやると聞いてこれは行きたいと意気揚々にして参加を決意した。

当日。仕事が6時前くらいに終了して夜の8時からのイベントまで時間があったので、シラフで行くのも何だしちょっと酔っ払って行こうと、神保町のお気に入りの店に寄った。通されたコの字カウンターの隣は馴染みの常連のおじさんだったため、一緒に日本酒や焼酎を飲んで楽しくやっていた。楽しかったからなのか酒は強い方だと自負している私が酔っ払ってしまい、あれ今日はちょっとやばいなと思っていた時に事件は起きた。楽しくやっていたおじさんの隣に座っていたおじさんと私はそのおじさんのあだ名について口論になってしまい、酒場でおっさんとあだ名を巡って喧嘩になってしまったのだ。私と楽しくやっていたおじさんが「おい、やめとけよ」と焦って止めに入ってくれても酔っ払っていた私の感情は止まらず、相手のじじいも譲らずで競っていたのだが、不意に時間を確認したところ時刻はとっくに8時を過ぎており、こんなところで喧嘩してる場合ではない阿佐ヶ谷で推しの作ったスタミナナポリタンが待っている!と我にかえりじじいとの喧嘩を切り上げかけ足で阿佐ヶ谷を目指したのだった。

酒の酔いと客と喧嘩をしたまま飛び出してしまった後味の悪さとで気分の悪い状態で阿佐ヶ谷に到着した。店に入るとハイエナズクラブの編集を手がける赤祖父さんがおり、スタミナ飯を楽しんでいたのでその席に入れてもらうことにした。赤祖父さんに現在具合が悪い旨を伝えながら、私は忍法「酒で具合が悪くなった体は酒で治す」を使った。これは酒飲みによくみられる術なのだが悪酔いはシュワっとした酒を飲むと治ると信じジントニックなどを注文し復活を試みるのだが、このジントニックが効いた。もうナポリタンなんて絶対食べられない状態になりそんな私は次に忍法「夜風に当たる」を使い、一旦店から飛び出したのであった。

 店から飛び出して1時間半くらい経過したであろうか。途中コンビニで水を買い、水をちびちび飲みながらあまり馴染みのない阿佐ヶ谷の街をウロウロしていた。今回の忍法が効いたのか随分気分もよくなったのでロフトのある方に戻っていくと、帰宅途中の赤祖父さんに出会いまだウロウロしていたのかと問われた。心配して声をかけてくれた赤祖父さんにだいぶ良くなったのでこれから店に戻りますと告げ、そうして赤祖父さんと別れた。

そしてロフトに再び舞い戻り、推しのナポリタンを食べて帰るぞーと小走りでカウンターに向かうと、そこには待ってました推しの姿が。酒と疲労で充血した目をギラギラさせながら推しにナポリタンを注文するともう閉めましたよ。とまさかの言葉が返ってきたのであった。

ナポリタンを胸に走ったあの日酒場で喧嘩したあの時夜風にあたりながら呻いたこの時が走馬灯のように駆け抜けていく。そんな私が使ったのは忍法「駄々をこねる」で頑張って駄々をこねたがまぁ普通に聞いてもらえず一筋の涙が溢れそうになっていたその時「あの、もしよかったら私たちが食べているスタミナナポリタン、一緒に食べませんか」と2人の女性が声をかけてくれたのであった。

心優しい2人のお誘いに「いいんですか!」と充血した目をギラギラさせながら答え、一緒に席に座って待ちにまったナポリタンを頬張った。1つのお皿を3人で囲んで食べた推しのナポリタンは本当に美味しかった。天使みたいな2人と会話を弾ませる中で、2人ともハイエナズクラブのファンでもあることを明かしてくれた。そんな2人に私はすかさず自分はハイエナズクラブのメンバーであるんだよとお伝えしたところ「すごい!本当ですか!お会いできてうれしい!」と100点満点のリアクションで返してくれたもんだから、すっかり気分が梅宮辰夫になってしまい「このあと飲みいくぞー!」とまだ1記事も書いていないのにいい気になってハイエナズファンを飲みに誘ったのであった。1人の女性は早朝に予定があるとのことでお断りされたのだが、もう1人の女性は「飲みに行きたいです!」とまたもや天使みたいな笑顔で私の誘いに乗ってくれたもんだから、これはかっこつけないといけませんなとその女性を新宿二丁目にあるゲキ渋なBARに彼女と終電に乗って移動したのであった。

渋いBARに到着し、私は出会いと完全復活を願ってジントニックを注文したのだけどこのジントニックがまぁ効いてしまい本日1番の最悪なコンデイションになってしまった。もう女性1人を残して忍法夜風も使えないし、どうしようかと悩んだ私は忍法「トイレに篭る」を使いその場を一時立ち去った。

くそぅ....せっかくファンをBARに連れてきたのにこのままではカッコがつかない...ワンチャン狙う男のような心境で私はグラグラ揺れる頭を悩ませていた。そんな私が最後に使った忍法は「嘔吐してリセットを試みる」で精神を集中させて試みたが、今にもキマリそうなのになかなか山を迎えることができずトイレでもがき苦しんでいた。しかし長時間の篭りは人様の迷惑になるので一旦中止し、ハイエナズクラブファンが待つ席へと戻った。「大丈夫ですか」ファンの呼びかけに大丈夫と言えなかった。「帰っていいですか...」この言葉を本当に言いたくなかったのだが、思わず本音が出てしまった。でもとてもこのままBARで飲み続けるなんてできなかった。阿佐ヶ谷から終電で連れてこられて、薄暗いBARに入店させられ、ほぼ1人で席で待たされるという仕打ちをされたというのにそれなのに女性は、ハイエナズ天使は「もちろん!帰りましょう!今日は帰った方がいいです!」と200点満点の返しをしてくれたのだった。

こんな恥ずかしい姿をさらけてしまい情けなかった。最後くらいかっこつけないとと私の中の辰兄が私を励まし、BARの支払いをしてファンに5000円を握らせ「気をつけて帰ってくれよな」とヨタヨタになりながらタクシーに乗りこんだ。そんな私をファンはタクシーが発車するまで見届けてくれたのであった。

タクシーで猛烈な吐き気に襲われ気持ちわりーと呻き運転手に恐怖を与えながら、なんとかなんとか自宅に到着した。そうして到着後すぐに今日1の山を迎えトイレに駆け込んだところ、苦労してありついた推しのナポリタンを再び地上に舞い戻らせたのであった。私はそのナポリタンを見つめこの過ちは今日のどこにあったのだろうか?とぼんやり考えた。考えたところ2人の天使に辿り着くには今日の出来事が何一つ欠けてはいけなかったという考えに行きつき私の中の紀香がオールオッケーやで!と言いながら踊りを踊り出したので眠ることにした。

 

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 この日の出来事から早3年が過ぎ1記事も書いていないのにハイエナズクラブの名前を使って女性をBARに連れ込んでいた私も、年1という激遅なペースで現在3作の記事を完成させた。

 

 あの日のハイエナズ天使のお2人。お元気でしょうか?まさか8時開店が当たり前だった世の中が8時閉店を促すようになるとはあの時は夢にも思いませんでしたね。先の見えない日々ではありますが、どうぞお身体を大切にお過ごしください。そしていつかまた一緒に心置きなくナポリタンを囲んで食べられる日が来ることを願っています。

最後になりましたが私さとみこんこん、最近ハイエナズクラブで記事を書いたのでよかったら読んでください。

 

hyenasclubs.org