わんわんが好きな息子

1歳の息子は動物が好きで特にわんちゃんがお気に入りである。実家に帰ればチワワがいるのだが、実家の犬は臆病でよく吠えるし私にすら懐いていないので息子に触らせることができない。それがわからない息子は笑顔で突進し誰かしらに阻止されるので、その度に泣いたり怒ったりしている。

息子に犬を触らせてあげたい。しかし残念なことに我が家はマンション住まいだし、動物を飼う余裕もないのが現状である。なるべく好奇心の赴くままに行動し満たしてあげたいと思う親心。わんちゃんと触れ合ってほしい...

そんな思いから母親は散歩中にでかめの独り言を言うようになった。

「わんちゃん!わんちゃんだよ!」「かわいいわんちゃん!」「綺麗なわんちゃんだね!」

この独り言は抱きかかえる子供に語るように見せかけているが、標的は散歩中に出くわす犬と飼い主である。私の見解では犬が好きな人は子供も好きな傾向が高く、だいたいの飼い主は「あらかわいい赤ちゃん」と私のでかめの独り言を拾って返してくれる。ここで素通りしたり距離を取られる場合は関わって欲しくない飼い主である。おぎやはぎの小木は以前ラジオでこう言っていた。「ドックランに行くと他の犬と飼い主が寄ってくるのがいや。俺は自分の犬以外可愛くないし話かけてほしくない」こういう考えの人がいることを私はメガネびいきからちゃんと学んでいるから大丈夫。そもそも触って欲しくない飼い主もいるし、うちのチワワみたいに噛み付く犬がいるのも知っている。

犬と飼い主と私と息子。全員が気分良くコミニュケーションが取れる状態であることをでかめの独り言から判断しているのだ。晴れて犬と飼い主からのお触りOKの承諾を得ることができた時に、息子とわんちゃんをご対面させていただいている。もちろんわんちゃんにも息子にも飼い主にも負担がかからないように謙虚に触らせてもらっている。

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 そんな母の路上ゲリラコミニュケーションの甲斐あり、顔なじみのわんちゃん猫ちゃん(猫は見るだけ)は増え、すばるくんとさくらちゃんに至っては家まで押しかけている(ミニチュアダックスフンドの親子)

家まで押しかけるといえばミーアキャットのカップルも忘れてはいけない。散歩コースにミーアキャットが二匹住んでいてほぼ毎日ミーアキャットの様子を見に行っている。大きな窓のお宅に住むミーアキャットは、よく大きな窓際に置かれた猫用クッションに寛いで外を眺めている。時には二匹が身を寄せ合って重なっていてかなり可愛い。その様子を息子と観察している。

ある日。「ミーアキャットさーん」とでかめの独り言を言いながら大きな窓に向かって手を振っていると「こんにちは」と背後から家主と遭遇するという不測の事態が発生した。人様の家の前をジロジロ見ていたことに後ろめたさがあった私は振り返り、速やかに頭を下げて謝罪をした。すると「良いんですよ良いんです。いやもっと近寄って見てってください。なんなら玄関前の階段登って良いですし。写真もとって良いですから」家主は思いの外非常に低姿勢で対応してくださった。その後ミーアキャットは人懐っこいこと、子供を産んでほしいのだがなかなか上手くいかないことなど家主とミーアキャットトークに花を咲かせた。さすがミーアキャットを多頭飼いする器のある人は懐も広いんだなと関心し、翌日早速敷地内に侵入し出入り口の外階段を登ってミーアキャットのアップの写真を撮らせていただいた。そしてその後も通いつめ、ミーアキャットのお宅にはなんと毛のない猫も飼っていることを知るのであった。

息子はこの街で人間のお友達は一人もできなかったが、すばるくんやさくらちゃん、妊活中のミーアキャットカップルなど多数の顔見知ができた。近所の動物たちと触れ合い着実に犬猫交友関係を広めて行ったためまじかに控えた引越しが悲しくて仕方がない。次の街ではどんなお友達ができるだろうか。とりあえず近所の公園にはカルガモがいるとの情報を入手したので楽しみである。