ピラティスに通っている

強欲なわたしですから、30を過ぎてもそれなりに小綺麗にして健やかな人間でありたいと願ってしまうもんで、こそこそアンチエイジングに励んだりしている訳である。

その一環で、2年前から友人が始めたピラティス教室に通っている。猫背を治したいとかたるんだ二の腕を引き締めたいとか見た目の改善の目的もあるのだが、将来尿もれで悩みたくないとか、年金も当てにならないし寝たきりになっては困るなど先々を見据えて筋トレをしていくことを決めたのだった。ちなみにピラティスピラティス氏が負傷兵のために考案した筋トレメゾットみたいなものである。

最初は4〜5人を対象としたグループレッスンを受講していたのだが、人の失敗に敏感に反応してしまうわたしはフォームが維持できず崩れ落ちる人を見てはニヤついていた。唇を噛み締め壁を一点見つめ、腹筋におもいっきり力を入れて笑いを堪える。そのことが結構しんどく、さらにツボに入ると後を引くというタチの悪さも相まって3回ぐらいでグループレッスンを辞めることにしたのだった。「人が失敗すると笑ってしまうのでグループレッスンをやめる」と正直に先生に伝え、それからというものプライベートレッスンを受講している。しかしプライベートレッスンは少々金額が高くなるので、細く長く続けるためにはやっぱりグループレッスンも併用しようかと考えていた矢先、なぜかわたしがグループレッスンを辞めた理由が他の受講生の耳に届き「最低」と言われている事実を先生から伝えられ、再起不能であることを知るのであった。

そんな訳で2年近くマンツーマンで指導を受けている訳なのだが、自分の体なのに今まで気がつかなかった発見がたくさんあった。背骨が硬いとか足首が硬いとか足の指が全く動かないとか息が吸えないとか、日常生活で気が付かない体の指摘を受けそれを改善すべく地味な運動を指導された。最初はひたすら息を吸ったり吐いたりする運動をしていたのだが、これだけで酸欠を起こしてしまったこともあるくらい私の体は腐っていた。足の指を動かすだけで汗をかき、足をつって悲鳴をあげることもあった。これで人のことを笑っていたのだから最低と呼ばれてもしょうがない。そんな現代の負傷兵が定期的に通い続けた結果、息も吸えるようになり足指も動くようになった。さらに通って半年くらい経つと痩せたねとか首ができたねとか嬉しい言葉をかけられるようになった。おそらく小さい体の負担や歪みが蓄積した結果が体型となって現れるのだと思う。まだ猫背だしくびれもないし足首も硬いし改善点はたくさんあるのだが、気長に続けていこうと思う。