カニクリームコロッケが大好きです。

カニクリームコロッケって大好き。カニクリームコロッケを見つけたら必ず注文するほど好き。

でもわたしはカニクリームコロッケの味をしらない。だからいっつもカニクリームコロッケを注文しても「おいしいけどこれがカニクリームコロッケ?」で終わる。

その原因は、たぶん我が家の食卓でカニクリームコロッケが出なかったことが理由の1つだと思う。基準がないからいつ頼んでも「?」で終わってしまうのだ。

そもそもカニクリームコロッケってカニが入ってるの?
カニが入ったカニクリームコロッケを食べたことはほぼない気がする。一回くらいあったかもしれない。これカニかな?っていうくらいのカニの入ったコロッケを、食べたかもしれない。けどよく覚えていない。

今日食べたカニクリームコロッケには、エビが入っていた。なんでもいいのかな。カニクリームコロッケなのにエビでもいいのかな。
これはステーキです!と謳っていたのに、実は牛脂を注入した加工肉でした!というニュースで大騒ぎしていた日本の国民は、カニクリームコロッケにエビが入ってても、カニが入っていなくても、それはいいのだろうか。怒られないのだろうか。

そもそも私はカニクリームコロッケが好きなのだろうか。カニクリームコロッケが好きな自分が好きなのではないだろうか。

いよいよもってカニクリームコロッケが好きな自分に自信がなくなってきた。冒頭で大好き!と言っているのにもかかわらず....

でも副都心線の中で、わたしは思い出したのだ!
そういえば小学校の遠足のお弁当でよく冷凍のカニクリームコロッケが入っていたな、という事実を!しかもそのカニクリームコロッケは爪つきのカニクリームコロッケで、食べ終わった後にそのカニの爪をチョキチョキさせて遊ぶのが好きだった。そういえば、そうだったな、と。副都心線から丸ノ内線の乗り換えで思い出したのであった。

え?じゃあわたしが好きなのは、カニクリームコロッケを食べ終わった後のカニの爪だったのか?
いや、それだけじゃないはず。

恐らく、食卓にならばないカニクリームコロッケが遠足の時にだけ出てくる楽しみ。それをずっと大人になった今でも引きずっているのかもしれない。

あぁ。そうか、そういうことか。そういえば、味だけでいえばカキフライのほうが好きだな。とふと思った三十路の春。
わたしは悟ってしまった。
もしかしたらもうカニクリームコロッケを頼まないかもしれない。

いや、やっぱりカニクリームコロッケを見つけてはまた注文し「これがカニクリームコロッケ?」って思うバカなままのわたしかもしれない。