学校のかいだん

小学校3年生の時。

となりのクラスの担任は林先生という、ちょっと変な男の先生だった。

先生は頭の真ん中がハゲていた。
別にハゲだから変というわけでは決してない。
変だなと思ったのは先生の頭の毛がない部分、そこが何か黒いもので塗られていたのだ。そしてその部分に違和感があった。

噂ではその黒いものは墨汁だと言われていた。

雨の日の帰り道、傘をささないで歩いていた林先生とすれ違った際に
林先生の頭から顔へと墨汁が滴り落ち、シャツが黒く染まっていた!と言う生徒がいた。

学校の怪談さながらな演出をする林先生。
林先生はハゲた部分を何かで黒塗りしている点以外でも変だと言われる要因があった。

林先生はすぐに授業を自習にしてしまうのだった。となりのクラスはまた自習で、みんな遊んでいる。というのは羨ましくもあり、心配でもあった。となりのクラスは大丈夫だろうかと。

林先生の珍エピソードはまだある。
当時、体育のプールの時間は男女が教室で一緒に着替えていたのだが、
林先生のクラスは、男子は教室、女子は別の部屋に移動させて着替えをするように促していた。
先生良い配慮じゃん。とその時は思った。
けどどうも違うようだった。
先生は別室に設けた女子更衣室にご丁寧に着替えの制限時間を伝えに行っていた。
突然、先生が設けた女子更衣室の扉をガラッと開けて
「あと3分」
と、落ち着いた口調で残り時間を伝え、閉める時はソロソロとゆっくり扉を閉めた。
もちろん扉が開いた時は女子生徒のきゃーーという声が毎度響く。しつこい時は「あと1分」
と分刻み間隔でやってくる。

これって、大胆な覗きなのでは....

小学校3年生でも先生の行動は異常で、クビにならないのが不思議だった。

そんなある日、学校の階段を降りていると、林先生が階段の踊り場の鏡の前で何かをしていた。
(何やってるんだろう。)気づかれないように階段の壁に身を潜めて観察していると、

先生がマッキーで頭皮をぬりたくっていた。

マッキー!?

先生はマッキーを握りしめてせっせと頭皮のメンテナンスに励んでいた。先生の目は必死だった。
わたしはそろりとその場を立ち去ってすぐに友人に報告した。林先生のあれ、マッキーだったよ。と。

こうして学校の怪談は、学校の階段でまた1つ新しいエピソードが生まれたのであった。

マッキーで頭皮ケア、授業はやらない、女児の水着生着替えを楽しむなど、先生は学校でやりたい放題やっていたのに、結局3年生が終わるまでとなりの担任を務めていた。
しかし学年が変わったときに学校が移動となり、林先生は学校からいなくなった。
その後、先生は異動先の学校で女子生徒の体操着を盗んでクビになったという話を聞いたのであった。
めでたしめでたし。




それから数十年が過ぎて...


「白髪を隠すレタッチにはマッキーが1番!」

と、意識が高くて美魔女が勢ぞろいする雑誌・美STで、頭皮ケア特集の一部にマッキーで頭皮をケアする方法が紹介されたのであった。
まさか美STでマッキーケアを推奨するとは...
林先生はマッキーケアの先駆者であったという事実を私は目の当たりにし、動揺した。

さらにその後
「美ST・謝罪  マッキーを白髪染めに使用」
という話題でガルちゃん民達が快談をしている様子を私は見かけるのであった。